[零号機]永久貸与された「キャノンデール・タンデム・マウンテン」
語り継がれる「車坂峠ヒルクライム」の生みの親で、「グランフォンド軽井沢」立ち上げ当初からの実行委員でもある、こもろ観光局の花岡相談役から、
「あのさ、タンデム自転車あるけど使うかい?」
と、連絡いただきました。
私たちがこの活動を始めるにあたり、事あるごとに相談していた春先の事です。
いつも危なっかしい私たちに、急所急所で道を指し示してくれる頼もしい存在です。

菱野温泉のロビーテラスに、以前からタンデム自転車が置かれているのは知っていたけど、確かあれはかなり貴重なもの。
居てもたってもいられず、すぐに伺うとトラックにあのタンデム車を載せて待っていてくれました。
「これ本当に使わせてもらっていいんですか?」
「いいよ。ちょっと整備はしないとね」
「これ、国内でも貴重なやつですよね」
「そうそう。実はこれね・・・」
と、このキャノンデールのタンデム車が菱野温泉にやってきたいきさつを教えてくれました。
この車体の歴史をうかがえば伺うほど、緊張してきます。
「使いこなせますか?自分たちに」
「大丈夫。これけっこう乗りやすいから」
「でも、、結構高価なバイクですよね、、、」
ちょっとビビり始めた私たちを面白がりながら、花岡さんからでた言葉が実にハンサムでした。
「ま、“永久貸与”ってことで😊」
「え? えいきゅう、、、ですか?😱」
「そ、永久!」
私たちは、
「あ、ありがとうございます」
これしか、返す言葉がみあたりません。
私たちが障がい者サイクリングを始めようと相談した時も、随分大変な事を始めようとしているね、とにこやかに笑っていた花岡さん。
永久───
こんな事をさらりと口にできるなんて、ほんとにズルい人ですね😅
こうして、活動の記念すべきスタート機が突如として誕生しました。
私たちの機体の呼び名は「零号機(TDM-00 PROTO TYPE」。
この零号機を見るたび、大切なバイクを手渡してくれた花岡さんの優しさと、最後まであきらめずに頑張れ!という、永久の二文字に込められたメッセージが伝わってくるかのようです。

Cannondale Mountain Tandem(MT Tandem)Handmade in USA
キャノンデールは、いわずとしてたアルミチューブ(フレーム)の最高峰の一つ。
1980年代から一貫して、大径アルミチューブを採用し、軽量かつ高剛性で、踏んだ力がダイレクトに進む走りが特徴。
当時のキャノンデールブランドの技術的アイデンティティを象徴する存在です。
米国コネチカット州で生産されたオールハンドメイドの機体は、今なお高い評価を得ています。
大径チューブ設計は、当時としては異例の太さで、ねじれ剛性を確保することから、剛性要求が極めて高いタンデムで効くとされています。
Made in USA期のキャノンデールのアルミは、軽さと耐久性の好バランスで知られ、軽量・高剛性・高品質溶接の名作群を生み出しました。
特にタンデムは、当時としては先進的で、今なお語られる完成度を誇ります。

