[初号機]みんなに素敵なバイクに乗って欲しい!のために!!「KHS TANDEM CROSS」
活動のスタートとなる零号機が名車キャノンデールに決まり、続いて本格的な広がりに向けたテスト機が選定されました。
「初号機(TDM-01 TEST TYPE)」となるのは、「KHS TANDEM CROSS」です。

準備を進めていた昨年末までは、実は私たちが運用するタンデム車は全く別の方向を考えていました。
当初私たちは、軽井沢のレンタサイクルでも利用されている、シティサイクルタイプの車体を主力にしようとしていたのです。
「障がい者も乗りやすい車体にしよう」
「出来るだけ危険の少ないものがいいのでは」
というのが理由でしたが、その考え方がガラリと変わったのは、他でもない「NONちゃん倶楽部」と代表の津賀さんの存在でした。
障がい者サイクリングに経験も理解も浅い私たちは、事あるごとに津賀さんに電話して、文字通りゼロから教わりながら準備を進めていました。
津賀さんは本当に不思議な人で、一度もあったこともない、誰の紹介でもない私たちの、あまりに突然の最初の電話から親身に話を聞いてくれたばかりか、自分たちの失敗談も何から何まで教えてくれました。
大切なことは何度でも「なるほど。でも、私はこうしてるよ」と、まるで子どもを導くように教えてくれます。
そんな中で、私たちの考えているタンデム車の方向性は、津賀さんと随分違うことに気づくようになりました。
電話で何度も連絡をとりあいながらも、この自転車への考え方が津賀さんとなぜ違ってしまうかは、当時の私たちには知る由もなかったのです。
この違いはどうもとても大切な事だと強く感じたのは、障がい者サイクリングの安全性について相談している中で、
「障がいの状況で、補助輪をつけるのも考えたい」
と、私たちが言った時の津賀さんのいままでにない反応でした。
津賀さんは「私はそういうのいやだな」と、ひどく反対したのです。





そうこうしている内に、年もあけて2月。
いよいよ準備が佳境に差し掛かったこの時期に愛媛まで伺い、初めて津賀さんにお会いできました。
直接津賀さんとお話しできると、その想いは私たちの考えていたよりも遥かに深い事に驚かされます。
そしてこの日は、午前中からお昼をはさみ、なんと夜になるまで12時間以上もずっと津賀さんと話し込んでしまいました。
さすがに長時間過ぎて申し訳なかったというのと、最後までパワー全開の津賀さんに、
「なんてすごい人もいるものだ」
と、その驚きが、軽井沢に帰り着くまでずっと続いてしまった程です。
この津賀さんのスパルタ(?)集中講座の冒頭で、障がい者サイクリングの自転車の意味にようやく気が付きました。
NONちゃん倶楽部のガレージには、KHSの各車種をはじめ、タンデム車がズラリ。
その台数も、整備が行き届いている様子も衝撃的です。
そして、このタンデム車がみんなに希望を与えるのだという事。
障がい者だから、自転車はある程度のものでいいという考えではいけない事。
健常者と同じように、障がい者にも素敵な自転車で、胸をはって颯爽とペダルを踏んでもらわわければいけない事。
NONちゃん倶楽部のガレージで待機している、この地で活躍するタンデム車たちの誇らしげな姿と、津賀さんの想いを肌で感じたこの瞬間、ようやく私たちは気づくことができました。

「KHS TANDEM CROSS 」は、「KHS Bicycles(ケーエイチエス バイシクルズ)」が展開する、クロス・ツーリング系タンデム自転車です。
舗装路はもちろん、少し荒れた路面・グラベル系も快適にこなせるタイヤ&ジオメトリ設計で、街乗り、ロングライド、軽いオフロードまで幅広く楽しめる仕様になっています。
「KHS Bicycles」は、アメリカ・カリフォルニア州で1974年に設立されました。
ブランド名「KHS」は Knowledge(知識)・Health(健康)・Strength(強さ) の頭文字から来ています。
レクリエーション向けからスポーツ向けまで幅広い自転車を設計、製造、販売していて、世界30か国以上に輸出されています。
日本でも「KHS Japan」を通じて正規モデルを展開。
現行車の入手やメンテナンスでアドバンテージが高いブランドでもあります。

